2007年5月14日

天藤真『死角に消えた殺人者』

うーん、なんか安っぽくないか?

視点人物であるヒロインは真面目なOLという設定なんだけど。母を殺されて犯人への復讐を一人胸の中で誓っていたかと思えば、その数日後には峰不二子化して妙に尻軽な行動をとっていたり。

巻末解説などからは経緯がわからないのだが週刊誌とか夕刊紙に連載された作品のような印象を受ける。土曜ワイド劇場のコメディタッチのやつっていうか。むろんリアリティなどは二の次なんだろうけど、それにしても御都合主義がすぎるような気がしてしかたなかった。

ヒロインの言動の不自然さ。最後まで読んでみると、それはこの作品を独自のミステリたらしめるためのやむをえざる要素だったらしいことにはいちおう納得できなくもない。

この路線を発展させていったところに、つまり不自然なのをいかに不自然でなく見せるかに意を凝らしていくと、たとえば山田正紀あたりの作風になるのかもしれないなと思う。