2008年9月5日

長い長い眠り

結城昌治『長い長い眠り』(創元推理文庫)読了。

まいった。最後まで犯人がわからない。わからないけど当てることはできる。「たぶんこいつだろう」と思って読み返すと、たしかにそれらしい暗示がいくつかある。が、あくまでも理詰めで真犯人に到達しようとするなら、その手がかりは容易には見出すことができず、かなりの苦戦を強いられる。

殺害方法のトリックが素晴らしく、みごとに伏線が張ってあったのには感動した。

このひとのミステリは一見して叙述トリックを思わせるような箇所がトリックでもなんでもなく、ほんとになにげなく読み飛ばしてしまうところにズバリ正攻法で伏線が張ってあるので一筋縄ではいかない。