- 澤木喬「鳴神」
- よく考えたら雰囲気が一番近いのは安部公房だった。終盤まではとにかく読みごたえがある。が、最後にミステリ的な決着をつけようとするところで印象がぼやける。伏線も張りめぐらされてるしネガとポジが反転する気持ちよさも用意されているのだが、どうも据わりが悪くてインパクトが弱い。『いざ言問わむ~』が記憶に残ってないのも同じような原因なのかな。でもこの手の作風であれば今後も読んでみたいものだ。
- 山崎純「Prize for patience(忍耐賞)」
- よくある「すべからく」の誤用を除けば可もなく不可もなし。
- 黒崎緑「幽霊騒動」
- 漫才シリーズの第1作らしい。今回初めて読んでみたけど悪くはなさそう。
- 種村直樹「トリックに使えるかと思ったが」
- 創作こぼれ話、みたいな感じのコラム。
- 白峰良介「錯覚コレクション」
- 同上。
- 笠原卓「草鞋履きのノウハウ」
- 同上。ちょっと話題がおっさんくさい。
- 北村薫「白い朝」
- もうすぐ孫が生まれる奥さんがお茶の時間かなんかに旦那に語りかける口調の短編。なので「私」シリーズよりは読みやすい。まぁ最初のうちだけだけど。
- 小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」創作メモ
- 原稿用紙にびっしり書かれたメモ。それを7ページにわたってカラー写真で紹介。丁寧ではないけど几帳面な字。
- 鮎川哲也「子育てに『黒死館』創作の秘密を見た」
- 「幻の探偵作家を求めて・番外編」第一回、小栗虫太郎の巻。鮎川氏と戸川編集長が虫太郎の三男・宣治氏を訪ねてインタビュー。
- 葉月つかさ・木智みはる・暮羽けい「薔薇、黒死館、そして虚無 ミステリ界の金字塔に挑戦する身の程知らずの方言座談会」
- なんか2時間ドラマのようなタイトルだが、思えばこの1990年というのは東京創元社から『薔薇の名前』が翻訳出版された年なのだった。懐かしい。木智みはるが現在の若竹七海。
- 服部正「栄光の薔薇」
- 同じく『薔薇の名前』を論じたエッセイ。今気がついたけどタイトル単なる駄洒落じゃん。
これで半分ちょっとすぎ。