山田正紀『仮面』(幻冬社文庫)を昨日読了。これは苦しい。
前作『阿弥陀』(同)ではエラリー・クイーンばりに論理的だった風水火那子が、この作品では単なる種あかしの人でしかない。作者によって用意されたトリックとその真相を「それ以外に解釈の余地はありえない」「必然的にこれしか残らない」という検証もなしに漫然と解説するだけの存在。
帯に「どんでん返し」とあるけど全然どんでん返ってないし。
『螺旋』の風水林太郎による「~だろうぜ」の連発もそうだったが今回の「タケシタ」による「~なのよな」の繰り返しもうざったい。
ほぼ冒頭に探偵役による謎解き場面をもってきた実験的な造りに期待させられたぶん後半はがっくり。不本意ながら酷評となってしまった。